CanonのFシリーズは、古くなって来るとファインダー内の左右に、台形の形をした汚れが出て来ます。最初、フォーカシングスクリーンに汚れが付いたのかなとも思い、アルコールと綿棒で掃除してみましたが、変化がありません。そして義父から借りたFTにも同様の汚れが見えました。形も同じです。ネットで調べた所、これはペンタプリズムを押さえている金具の内側に付いているモルトが加水分解し、ペンタプリズムの鏡面メッキ加工を侵してしまい、結果汚れとなって見えるとの事でした。そこで、このモルトを交換する事にしました。
軍艦部を開けると、ペンタプリズムを押さえている金具がありますので、これを外します。ネジは2カ所で、ゆるみ止めにボンド状の物が塗ってありますので、これをはがしてからネジを外しました。
外した金具の裏側を見ると、モルトはぼろぼろで、金具には緑青が付いています。まずはモルトを除光液を付けてはがします。次にクエン酸を溶かした水に金具を浸けておきます。こうするとサビや緑青がきれいに取れます。
次にペンタプリズムの方に残っているモルトの残骸をはがします。あまり強くこすりすぎると、鏡面メッキがはがれてしまうので、手加減して根気よく取っていきます。完了すると、モルトが密着していた部分のメッキが完全にはがれており、中が見えます。
金具に新しいモルトを張ります。しかし普通のモルトではまた再発してしまいます。そこで代用品として、書道の下敷きの黒いフェルトの布を両面テープで張る事にしました。
金具を取り付けて、軍艦部を戻してファインダーを覗くと、汚れがきれいに消えています。鏡面メッキが無くなったので、そこだけ黒くなってしまうのではとも思いましたが、全く問題ないです。ガラスの表面反射だけで、充分な光が得られているようです。