BMW R100GS-PD 修理 段ボール恒温槽

Written by じび on 4月 16th, 2008

既に修理は終わりましたが、これまでやってきたことを引き続き書いておきます。

今回はミッションカバーの取り付けです。

ミッションケースやミッションカバーには各シャフトのベアリンクを受けるくぼみがあり、そこにベアリングが固くはまり込んでいます。これは受け側のケースやカバーを温めることで金属を膨張させて隙間を作り、その間にベアリングをはめ込みます。その後、常温で放置して冷ますと、受け側が収縮してベアリングが抜けない様にがっちりとはまります。かもいさんによるとこのような方法を「焼きバメ」と呼ぶそうです。

彼の会社で焼きバメを行う時は、温める部品を恒温槽に入れてしまうのだそうです。恒温槽とは中の温度を設定通りに保つ容器です。私の会社でもコンピュータの温度動作試験で使われていました。中にコンピュータを入れ、0〜40℃の間で温度を一定周期で変化させ、動作に異常がないか試験するのです。大きさや設定温度などで色々な恒温槽があるようです。

でもさすがにサンデー・メカニックで恒温槽まで持っている人はいないよなぁと思っていたのですが、良いアイデアが閃きました。R100GSのミッションで焼きバメを行う場合の温度は100℃です。この程度なら余裕を見て200℃としても段ボールで充分に耐えられます。温度管理は200℃まで測れる温度計があるので、これを使えばOKです。この200℃まで測れる温度計は、ホームセンターの農業資材置き場で見つけ、800円くらいでした。加熱には段ボールに穴を開けて、手持ちのヒートガンで熱風を送ります。温度調整は段ボールとヒートガンの距離で調整します。

まずは段ボールにミッションカバーを入れます。ちなみにこの段ボールは二重構造の物です。中の部材が熱風の循環を妨げない様に注意して置きました。

次に段ボール上面に、キリなどで温度計よりちょっと小さめの穴を開けます。そして温度計をぐりぐりっと突っ込みます。

最後にふたをして、ふたの横にヒートガンの熱風を吹き込む穴を開けます。ヒードガンの吹き出し口を穴に向ける様に木材などで調節して置きます。

ヒートガンのスイッチを入れます。Low(300℃)に設定して、写真の距離の所に置いた所、温度がどんどん上がって行き、2分後ぐらいには110℃まで上がりました。そのまま5分程放置して中のミッションカバーを温めます。

その間にミッション本体側の用意をします。ベアリング上にシムを置きます。そのままだとずれ易いので、三カ所くらいにちょんちょんと万能グリースを付けて、ぎゅっと押さえつけます。こうするとずれ難くなります。さらにイミディエイトシャフトにはバッフルプレートを取り付けます。(実は取り付け忘れて、再度ミッションカバーを外して、やり直したのでした・・・orz)

5分後に見ると、温度は120℃になってしました。これくらいなら許容範囲でしょう。100℃に耐えられる分厚い手袋をして、ミッションカバーを取り出します。そしてシムがずれない様に慎重に垂直にカバーを降ろして行きます。カバーを降ろし終わっても、ベアリングは完全には受け口に収まってくれなかったので、上からプラスチックハンマーで叩いて行きます。するとだんだんとカバーとケースの隙間が小さくなり、ついにはぴったりと嵌りました。そしてカバーをボルトで止めて行きます。

こうしてミッションの組み立てが完了しました。


 

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