バイク

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R100GS-PD メンテナンス記録 2008/05/02

金曜日, 5月 2nd, 2008

走行距離 70,343km

・ブレーキフルード交換
・エンジンオイル交換(バルホリン20W50)
・オイルフィルター交換
・リアギアオイル交換(BP 80W90)

ブレーキフルードは去年の夏にかもいさんから色が変わっているから交換した方が良いと言われていたのですが、交換したばかりだし、もともと濃い色のフルードなので大丈夫かなと思っていました。しかし、前回の交換から一年以上たっているので交換する事にしました。

さて、これが私のバイクのブレーキシリンダーですが、どこにブリーダーホースをつなぐか分かりますか?

実は真ん中に上に向かって突き出ているのがそうなのです。それも2つあります。

ということでブリーダーホースを接続します。途中にワンウェイバルブを入れました。

ここで使っているメガネレンチは11mmです。日本だとM8には12mm、M10には14mmがよく使われていますが、実はこれは日本独自の規格なのです。ドイツは国際規格に準拠しており、M8は13mm、M10は15mmとなっています。

まず、マスターシリンダーの液を注射器で抜き取ります。そこに新品のブレーキフルードを入れます。ブレーキレバーを何回か握り、最後にぎゅっと握ったまま、ブリーダーホースのボルトを緩めます。するとブリーダーホースに古いブレーキフルードが出て来ます。ブレーキレバーがスコンと軽くなるので、すかさずボルトを締めます。これを2回繰り返すとワンウェイバルブを通るので、後はボルトを開けっ放しの状態でブレーレバーを繰り返し握り、古いフルードを押し出して行きます。マスターシリンダーの中を確認して、空にならない様に補充します。ブリーダーホースに出て来るフルードが新しいものの色になったら終わりです。ボルトを締めて、ブリーダーホースを抜きます。この時ホース内のフルードがこぼれてくるので、予めウエスでくるんでからホースを抜きます。

もう一方のブリーダーも同様に行いました。ことちはすぐに新しいフルードが出て来ました。片方だけでも良いかもと思ってしまいました。

ワンウェイバルブですが、ある程度圧力がかからないと通らない為、圧力に負けてホースとのつなぎ目からフルードがしみ出してきました。タイラップとホースバンドで止めていたのですが、防げませんでした。とりあえずウエスでくるんでもれたフルードを受け止める様にしました。次回は自己融着テープで密閉してから使うか、ワンウェイバルブを使わないで、ただのホースを使おうかと考えています。ブリーダーの口が、高い所に上向きについているので、空気が入ってしまう心配は無いのではと考えています。

エンジンオイルは前回と同じバルボリンの20W50(鉱物油)を使用しました。カストロールの10W50(化学合成油)が残っていたので、混ぜようかなとも思ったのですが、安全を期してやめましました。

またオイルフィルターも交換しました。しかしこれが厄介なのです。エンジンガードに邪魔されて普通のヘキサゴンレンチが使えないのです。

特に右上のボルトが厄介です。最初、斜め掛け出来るボールポイントのヘキサゴンレンチを使おうと思ったのですが、何度もボールポイントで開け閉めされたようで、既になめてしまっていて、ボルトが回りません。ボールポイントでないちゃんとした六角形のヘキサゴンレンチでないと駄目そうです。

そこで色々試した所、車載工具のヘキサゴンレンチを使う方法を見つけました。まずヘキサゴンレンチの長い方を差し込みます。これですとエキパイに当たるより長く、エンジンガードに当たるより短くてちょうど良い長さになります。

このままだと力不足で回りません。そこで短い方にメガネレンチをかけて回します。これで簡単に緩める事が出来ました。緩んでしまえば後はボールポイントでくるくる回す事が出来ました。

カバーが外れたら、それほエキパイに沿わせて右上にずらして行きます。オイルクーラーにつながっているホースは固いので、大きく曲げて行きます。

そのまま上に持って行くとエキパイとフレームの間から外に出せました。

カバーについたシール類の交換は外に出した方がし易いです。

取り出したオイルクーラーと新品です。うーんだいぶ汚れてますね。ちゃんとオイル交換2回に1回は交換しなければ。

新品の下にあるのは付属品です。色々な車種に対応出来るよう、Oリングとか車種によっては余計な物が入っています。

私の場合は使わない部品は一番小さい銅のワッシャー2個とガスケットです。実はこのガスケットはディーラーで交換してもらった時にも使われていたので、今回、同じ様に使ってしまったのですが、GSでは不要のようです。使うとOリングを押さえつける圧力が弱くなり、オイルフィルターに充分にオイルが回らくなるという話しを聞きました。RealOEMでもパーツ図にガスケットは入っていませんでした。次回はガスケット無しで組んでみるつもりです。オイル漏れが心配だけど、もし漏れるようなら液体パッキンでも使おうと思います。

あと右側にあるBMWのマークの付いた銀色のシールが入っていたのですが、これがなんだか分かりません。どこに貼るのかな?

このオイルフィルターは2つに分割されています。車種によってはエキパイやフレームが邪魔になるので、このように中折れの2分割になっているのです。つなぎ目はこんな風になってます。

カバーを止めていたボルトですが、ステンレス製に交換されていました。しかしアルミ(ボルトの受け側)にステンレスを接触させて水に濡らすと、電蝕によりアルミが腐食してしまうのです。そのためここのボルト(M6x20mm)を鉄製に変えたかったのですが、今回は時間がなかったのでそのまま使用しました。出来れば早めに変えたいです。またボルトの頭の穴はがたがたになっていました。多分ボールパイントの使い過ぎだと思います。ボールポイントの斜めがけは、接触する面積が小さいので、そこに大きな力がかかってなめやすいのです。こんな状態で締め終わりや、開け始めに使っていたら、そりゃ穴の中の角がなめてしまうのもしょうがないですね。しかしステンレスでもこんなになってしまうとは驚きです。

あと問題を2つ見つけてしまいました。

一つは自作のダイオードボードのマウントが引きちぎられていた事。幸いな事に残った部分がダイオードボードとボディの接触を防いでくれていたので、ショートはしませんでしたが、あやうくダイオードボードの交換になるところでした。この自作マウントは現在強化版を作って装着する予定です。

もう一つは前輪のタイヤのひび割れです。

さすがにこれだけ深いと車検に通りませんよね。新しいのを買わなきゃならないのですが、前輪は古くても、後輪はバンクで交換したので比較的新しいのです。前後同時に変えるのはもったいないので前輪だけ変えようかな。でも次はオフロードタイヤにしたいと思ってたんだよな。前がオフロードで後ろがオンロードというのもどうだろうと考え込んでいます。

R100GS-PD メンテナンス記録 2008/04/29

火曜日, 4月 29th, 2008

走行距離 70,343km

・エアーフィルターの交換
・プラグの交換(NGK BP6ES 2個)
・イグニッションコイルとプラグコードの接点、プラグコードのプラグとの接点をパーツクリーナーで洗浄後、コンタクトスブレー(接点復活材)を少し塗布。
・ホーンが鳴らなかったので、ホーンに付いているコネクタを外し、パーツクリーナーで洗浄後、コンタクトスブレー(接点復活材)を少し塗布。

プラグは以前はBPR6ESという抵抗が入っているタイプを使っていました。NGKのカタログではBP6ESが指定なのですが、そのとき行ったライコランドにはBPR6ESしかなかったのです。店員さんに相談した所、抵抗なしのプラグの代わりに抵抗ありのプラグを使う分には問題ないとの事で、BPR6ESを使っていたのでした。あるブログによるとプラグには2万ボルトの電圧がかかるので、5KΩの抵抗が入った所で影響はほとんどないとのことでした。実際に乗っていても特に違いは感じられませんでした。この抵抗はスパーク時のノイズを押さえる為に入っています。R100GSの場合、純正のプラグキャップ自体に5KΩの抵抗が入っているので、プラグの方には抵抗は必要ないのです。ちなみに抵抗なしのBP6ESは、ホームセンターの農業資材置き場で見つけました。車・バイクコーナーにはBPR6ESしかありませんでした。

イグニッションコイルは交換する予定です。一年前くらいにプラグコードを抜いた所、中にびっしり緑青(ろくしょう、銅に発生する青緑色のサビ)が詰まっていました。その時は緑青を掻き出し、サンドペーパーで磨いたのですが、今回ミッション修理の最中にプラグコードが抜けてしまい、先を見るとハンダ付けされている金具が取れています。中の芯線も緑青に侵されて、切れてしまっていたのでした。今回はコードの皮膜を1cmくらい剥いて、芯線を切ってハンダ付けし直しました。イグニッションコイルは旧車にとっては消耗品と言われていることもあり、次回、プラグコードと共に交換する予定です。新しいイグニッションコイルはスズキやカワサキが4気筒マシンに使用している2気筒同時点火のものを使用する予定です。とりあえず最初は1コイル2気筒で使用する予定ですが、そのうち時間があれば2コイル2気筒にしようかと考えています。

ホーンは、ホーンの端子にテスターをあててボタンを押すと、電圧がかかったので、ホーンのコネクタが原因と見て、分解、清掃を行い、無事に鳴る様になりました。バイクを静止状態で鳴らすと、結構音が大きいです。実は以前仲間とツーリングに行った時、10m位前を走っている仲間に知らせようとホーンを鳴らしました。しかし本人曰く聞こえてはいたが、バイクのホーンだとは思わなかったとのことでした。実はホーンの位置がちょうど前輪の泥よけの後ろにあり、あまり前に音が行かないのではないかと思っています。そこでホーンを横にオフセットして装着し、前に聞こえる様にしようと思ったのですが、安い薄型ホーンのため、雨に弱いのです。そこで車用の渦巻き型のホーンを買って来て、取り替えようかと思っています。こちらも元々雨にさらされるように設計されている訳ではないのですが、少なくとも元のものより長持ちしそうです。

エアーフィルターはMotoBinsのセールで買いました。でも大きい物なので送料に9ポンド(約2,000円)もかかりました。これはBMWの純正品ではありませんが、BMWにOEM供給しているマーレー社製の物なので、純正とそんなに変わらないと思います。

右が古いもの。結構汚れています。真ん中が新品、左が入っていた箱です。

BMW R100GS-PD 修理 段ボール恒温槽

水曜日, 4月 16th, 2008

既に修理は終わりましたが、これまでやってきたことを引き続き書いておきます。

今回はミッションカバーの取り付けです。

ミッションケースやミッションカバーには各シャフトのベアリンクを受けるくぼみがあり、そこにベアリングが固くはまり込んでいます。これは受け側のケースやカバーを温めることで金属を膨張させて隙間を作り、その間にベアリングをはめ込みます。その後、常温で放置して冷ますと、受け側が収縮してベアリングが抜けない様にがっちりとはまります。かもいさんによるとこのような方法を「焼きバメ」と呼ぶそうです。

彼の会社で焼きバメを行う時は、温める部品を恒温槽に入れてしまうのだそうです。恒温槽とは中の温度を設定通りに保つ容器です。私の会社でもコンピュータの温度動作試験で使われていました。中にコンピュータを入れ、0〜40℃の間で温度を一定周期で変化させ、動作に異常がないか試験するのです。大きさや設定温度などで色々な恒温槽があるようです。

でもさすがにサンデー・メカニックで恒温槽まで持っている人はいないよなぁと思っていたのですが、良いアイデアが閃きました。R100GSのミッションで焼きバメを行う場合の温度は100℃です。この程度なら余裕を見て200℃としても段ボールで充分に耐えられます。温度管理は200℃まで測れる温度計があるので、これを使えばOKです。この200℃まで測れる温度計は、ホームセンターの農業資材置き場で見つけ、800円くらいでした。加熱には段ボールに穴を開けて、手持ちのヒートガンで熱風を送ります。温度調整は段ボールとヒートガンの距離で調整します。

まずは段ボールにミッションカバーを入れます。ちなみにこの段ボールは二重構造の物です。中の部材が熱風の循環を妨げない様に注意して置きました。

次に段ボール上面に、キリなどで温度計よりちょっと小さめの穴を開けます。そして温度計をぐりぐりっと突っ込みます。

最後にふたをして、ふたの横にヒートガンの熱風を吹き込む穴を開けます。ヒードガンの吹き出し口を穴に向ける様に木材などで調節して置きます。

ヒートガンのスイッチを入れます。Low(300℃)に設定して、写真の距離の所に置いた所、温度がどんどん上がって行き、2分後ぐらいには110℃まで上がりました。そのまま5分程放置して中のミッションカバーを温めます。

その間にミッション本体側の用意をします。ベアリング上にシムを置きます。そのままだとずれ易いので、三カ所くらいにちょんちょんと万能グリースを付けて、ぎゅっと押さえつけます。こうするとずれ難くなります。さらにイミディエイトシャフトにはバッフルプレートを取り付けます。(実は取り付け忘れて、再度ミッションカバーを外して、やり直したのでした・・・orz)

5分後に見ると、温度は120℃になってしました。これくらいなら許容範囲でしょう。100℃に耐えられる分厚い手袋をして、ミッションカバーを取り出します。そしてシムがずれない様に慎重に垂直にカバーを降ろして行きます。カバーを降ろし終わっても、ベアリングは完全には受け口に収まってくれなかったので、上からプラスチックハンマーで叩いて行きます。するとだんだんとカバーとケースの隙間が小さくなり、ついにはぴったりと嵌りました。そしてカバーをボルトで止めて行きます。

こうしてミッションの組み立てが完了しました。


BMW R100GS-PD ミッションの一速で不具合(15)

土曜日, 4月 12th, 2008

バイクが復活しました!

途中経過は飛ばしますが、本日修理が終わり、実に7ヶ月ぶりにエンジンに火が入りました。時間がなかったので1速での走行だけ確認しましたが、無事に問題は解決しました。

明日はキャブの同調を取り直して、近所を走って来ます。(^^)

BMW R100GS-PD ミッションの一速で不具合(14)

火曜日, 3月 18th, 2008

今回はシムの厚みを求めます。

各シャフトのベアリングとミッションカバーの間には、シムと呼ばれる薄い金属の輪を入れます。これにより製造交差や摩耗で変化するベアリングとケース間のクリアランスを一定に保ちます。

このシムの計算方法ですが、私が調べた限りでは2通りありました。

一つは「CLYMER BMW R50/5 through R100GS PD 1970-1996」に書かれているもので、ガスケットの厚みも計算に入れた上で、0.05mmのクリアランスを設けるものです。

もう一つは「BMW メンテナンスブック」で紹介されていたもので、ガスケットの厚みをそのままクリアランスとする方法です。ガスケットの厚みを測定した所、0.28mmありました。組み付ければ多少潰れて小さくなるとは思いますが、それでも0.05mmとはかなりの差があります。

結局、今回は前者の方法でシムの厚みを求める事にしました。

最初、定尺とノギスのディプスゲージ部分を使って測定しようとしたのですが、値が安定しないのです。計り直すごとに値が変わってしまいます。原因としてはノギスを垂直に安定して立てられないことです。ノギスは頭の方が重いのと、ディプスゲージの基部が小さいため使っているとふらついてしまうのです。そのため斜めになって測定値が変わってしまうのです。またベアリングの出代を計るのに、ベアリングの外周にノギスの基部を当てて、定尺までの深さを測るのですが、この方法だとベアリングのクリアランスにより、押し付ける力によってベアリングが動いてしまい測定値が変わってしまうのです。

そこでちゃんとしたディプスゲージ専用品と、ベアリングの出代より厚みのあるコの字型のアルミチャンネルを買う事にしました。

専用ディプスゲージなら、上が軽く、基部が大きくしっかりしているので、斜めになる心配はありません。本当は0.01mmまで測れるデジタルディプスゲージが欲しかったのですが、あまりお金をかけたくなかったのと、CLYMERの本では0.05mm単位のものを使っていたので、同じような物を購入しました。

コの字型のアルミチャンネルは、ベアリングの出代より厚みのあるものを使う事により、基部をベアリング側でなく、アルミチャネル側に当てる事が出来、安定した測定値が得られます。

アルミチャネルは最初、場所によって厚みにばらつきがあるかなと心配していたのですが、ディプスゲージを使って何カ所か測定した所、30.05mmと同じ値になったので、これなら使えると判断しました。

まずベアリングの突き出し量を計ります。アルミチャンネルにディプスゲージの基部を当て、ベアリングの外周までの深さを測ります。

測定した結果は以下の通りでした。
インプットシャフト:15.30mm
イミディエイトシャフト:15.45mm
アウトプットシャフト:15.20mm

アルミチャネルの厚み30.05mmから上記の値を引いて、ベアリングの突き出し量を求めます。
インプットシャフト:30.05−15.30=14.75mm
イミディエイトシャフト:30.05−15.45=14.60mm
アウトプットシャフト:30.05−15.20=14.85mm

続いて、ミッションケースカバーのベアリング受けの深さを測ります。

測定した結果は以下の通りでした。
インプットシャフト:15.25mm
イミディエイトシャフト:15.95mm
アウトプットシャフト:15.15mm

ベアリング受けの深さからベアリングの突き出し量を引いて、現状のクリアランスを求めます。イミディエイトシャフトについてはバッフルプレートが入るので、その分(0.55mm)も引きます。
インプットシャフト:15.25−14.75=0.50mm
イミディエイトシャフト:15.95−14.60−0.55=0.80mm
アウトプットシャフト:15.15−14.85=0.30mm

この値に近い厚みのシムを入れます。元々入っていたシムは0.30mmと0.50mmのものが複数あったので、これを組み合わせて、以下のような構成にしました。
インプットシャフト:0.50mm×1枚
イミディエイトシャフト:0.50mm×1枚+0.30mm×1枚
アウトプットシャフト:0.30mm×1枚

うーん、測った様にぴったりでした。