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BMW R100GSパリダカール キャブレターからのガソリン漏れ

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バイクに乗ろうと燃料コックを開け、アパートの前まで押して行くと、何か変です。よく見ると右側のキャブレターからガソリンがぼたぼたと漏れています。慌てて燃料コックを2つとも閉じてしばらくすると、漏れは止まりました。しかしまたコックを開くとぼたぼたと漏れてくるのです。これでは駄目だと思い、その日バイクに乗るのは断念しました。

後日、燃料漏れの原因を探るため、キャブレターを取り外しました。まずはマニホールド(本体から出ている黒い曲がった管)やキャブレターを固定している金属バンドをマイナスドライバーで緩めます。それからマニホールドを外します。本体側のゴムバンドを、本体側の金属部分(下の写真では既に取り外しています)が完全に見えるくらい思いっきり下げると、簡単に取れます。

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次にキャブを外します。まずキャブをシリンダー側のゴムバンドから抜き、10mmオーブンレンチでアクセルとチョークのワイヤーの固定ナットを緩め、それぞれの調整ネジを回して抜き取り、ワイヤー先端のタイコを外します。それから燃料ホースを抜けば(私のは経年変化のせいかかなり堅かったです)、キャブレターが外せます。

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キャブレターを外したら、ゴミや虫が入らないよう念のためシリンダーの入り口をビニール袋と輪ゴムで塞いでおきました。

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キャブレターの裏側を見ると汚れで真っ黒です。

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油汚れなので、古歯ブラシを使って灯油で洗浄します。頑固な汚れやサビには真鍮ブラシを使いました。

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フロート室を開けます。クランプで固定されているので、手で開けられます。堅い場合はマイナスドライバーを使うと軽い力で開けられます。ただし傷をつけやすいのでご用心。白い物体がフロートで、これが溜まったガソリンの中で浮く事により、ガソリンの入り口にニードルバルブを押し付けて塞ぎ、常に一定の油面を保つように出来ています。

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フロートなどを取り外します。フロートはピンで固定されているのでこれを抜くのですが、方向が決まってます。ピンの一端にはギザギザが刻み込まれていて、簡単に抜けないようになっています。なので、ギザギザが付いているのとは反対方向から押して、ギザギザが付いている方向に押し出します。写真では上の方にギザギザが刻まれているのが分かると思います。押し出す方法ですが、私はピンと同じくらいの太さの釘の先端をつぶしたものを用意し、それをピンに当ててハンマーで叩いて押し出しました。

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外れた部品です。左がニードルバルブ、上がピン、右下がフロートです。ニードルバルブには、細い針金の部品がついています。これによってフロートとつながれる物なので無くしたり曲げたりしないように注意しましょう。

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私は最初、ガソリンが漏れてくるのは油面が上昇するからだと思い、フロートとニードルバルブがつながる金具の隙間を広げてしまったのですが、これは完全に間違いでした。ここを変えてはいけません。この幅で動くようにちゃんと設計されているので、ここで調整してはいけません。

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後日、気づいて反対側のキャブレターのフロートの金具の間隔を計った所、4mmだったのでそれに合わせて戻しました。

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そしてこれ以外にも失敗があるのです。ニードルバルブにはバネが組み込まれていて、フロートに押し付けられた時、そのバネが働いて穴を塞ぐのですが、そのバネがへたってしまったのではと考え、写真のように根元に太い針金のリングを作って入れて、バネが利く前に押さえつける構造に改造しました。しかしこれには重大な問題が有り、バネが利かない分、フロート室の油面が浅いうちにガソリンの供給が止まってしまい、ジェット内のガソリンが不足してしまうのです。フロートの金具の調整と相まって偶然にもうまく動いてしまったのですが、やはり問題なので、元に戻しました。

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その他にキャブレターのオーバーホールも行い(後日まとめて書きます)、全てを組み立て燃料コックを開いても右のキャブからはガソリン漏れがなくなりました。はっきりとした原因は結局不明のままですが、まあ良しとしましょう。

ここまでオーバーホールや調整(これも後日まとめて書きます)のため何度も付け外しを行っていたのですが、突然左のキャブからポタポタとガソリンが漏れるようになりました。全ては基準値で設定しているので、調整の問題ではないし、何だろうと思っている所で思い出しました。キャブは水平になるように設置する事とどこかに書いてありました。しかし普通に付けるとどうしてもシリンダー側の方が低くなって斜めになってしまいます。

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そこでとりあえず前後ではなく、左右をちゃんと水平にする事にしました。キャブを上から見たところ、少し傾いていたので直しました。

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また前後方向についても、なるべく水平に近くなるように、マニホールドの接合部分を少し斜めに固定して、マニホールド側が少し低くなるようにしました。

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これでガソリンが漏れる事はなくなりました。キャブの取り付け後に発生し、漏れる量がポタポタ程度でしたら、この辺りを疑ってみるのも良いと思います。

この他によく有るガソリン漏れの原因として、ニードルバルブにゴミが挟まった(プスチックハンマーなどで叩くと衝撃でゴミが取れる可能性が高いそうです)、ニードルバルブに隙間が出来ている(ニードルバルブのゴムがきれいな円錐形ならOKですがへこみや削れがあった場合は交換が必要)、フロートが経年変化で劣化し、ガソリンを吸い込んでしまい(黄色くなるらしい)本来の浮力を失った(フロートの交換が必要)などがあります。

あとキャブレターやマニホールドを止めている金属バンドは、あまりきつく締めてはいけません。バンド側のネジ山が崩れてしまいます。実際にやってしまいました。とりあえずインテーク側であるのと、ある程度の力では締められたので、そのままにしていますが、機会があったら交換したいです。でもこれなんかバイク用品じゃなくてもホームセンターに汎用品が有りそうな気がします。時間が出来たら探して見ます。

それと今回、接合部分にはシリコングリスを塗りました。おかげでマニホールドを取り外したりするのが楽になりました。また空気漏れも防いでくれるのではないかと期待しています。でもシリコングリスは高いですね。たった20gで935円もしました。でも耐熱温度は220度だし、ゴムやプラスチックに影響を与えないし、そんなに大量に使う物でもないので思い切って購入しました。またモリブデングリスも買いました。こちらはジャバラ入りが80gで99円と大変リーズナブルです。耐熱温度は120度まで。今回プラグを交換したのですが、参考書にモリブデングリスを塗っておくとカジリの防止に良いとあったので、使ってみました。

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今回の整備では以下の本を参考にしました。
R100RSベースで書かれていますが、他のR100シリーズにも役立ちます。
フラットが協力しているので、整備マニュアルに書かれていないような細かい事も書かれており、大変重宝しました。

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2007年4月21日 22:08に投稿されたエントリーのページです。

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