コミックマーケット創世記

Written by じび on 2月 22nd, 2009


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2006年10月1日、コミックマーケット(コミケ、コミケット)の創立者の一人にして、第二代代表を務めた、米澤嘉博が53歳でこの世を去りました。その訃報を受けた同じく創立者の一人にして、初代代表を務めた原田央男が「創設当時を知る初代代表として、コミックマーケット誕生のいきさつを今のうちに書き残しておくべきではないのか。」「それも日本のまんが界におけるコミックマーケットの位置を考えれば、関係者のみにわかる備忘録にとどめるべきではない。」と考えこの本が世に出る事になりました。

コミックマーケット以前では、作者と読者は明確に分かれていました。作者となるにはプロデビューするしかなく、そうでないと読者は身の回りの友人程度に限られてしまい、自己満足で終わってしまいます。それをコミックマーケットは変えてしまいました。作者は自分のまんがや文章を本にして、そこに集まった何百人の見知らぬ人々に自分の作品を見てもらえるのです。そして自分の作った物を気に入ってもらえればそれを買ってもらうのです。こうして作者になる敷居は下がり、誰でも作者になれるようになりました。しかも回を重ねる事にその人数は増えて行き、そしたそれに伴い作者のレベルも上がって行きました。やがて柴門ふみや高橋留美子のように同人作家からプロ作家になる人達まで現れる様になりました。

本書ではコミックマーケットが生み出される過程と、初期の状態が書かれています。当時はトナー方式のコピー機も、パソコンのプリンタも無く、本の印刷は青焼きコピーやガリ版刷りだったそうです。また参加サークル数も数十で、参加者も数百人レベルだったそうです。それが今では印刷は印刷所によるオフセット印刷が主流になり、参加サークル数は数万サークル、参加者数は50万人を越える規模になっているのです。また昔とは逆にプロデビューした作家のなかにも、自腹でコミケにサークルを出す人達もいます。

 

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