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2007年10月 アーカイブ

2007年10月 1日

BMW R100GS-PD シリンダースタッドボルトの修理

シリンダーのスタッドボルトが抜けてしまいました。修理のため外していたシリンダヘッドとロッカーアームを元に戻して、4つのナットを締めたのですが、一つだけ規定のトルクに達せず、そのままくるくると回ってしまい、ボルトはどんどん伸びて来て、ソケットの奥に当たって止まりました。これはスタッドボルトの雌ねじが抜けてしまったなと思い、シリンダーを外して、スタッドボルトを抜く事にしました。

最初、ダブルナットで外そうとしたのですが、抜けた雌ねじの摩擦が大きい為かスタッドボルトは回らず、ナットだけ回ってしまいます。しかたないので、もう一度シリンダー、シリンダーヘッド、ロッカーアームを取り付け、スパナでナットを締め込んでいくと、どんどん伸びて来てついに抜けました。

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クランクケースの雌ねじがきれいに抜けてしまっています。

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さすがにM10のボルトだけあって、雌ねじの残骸も太くて堅かったです。

雌ねじの修正には「リコイル」を使用しました。これは無くなってしまった雌ねじの代わりに、断面が菱形のステンレス線をスプリング状に巻いた「パケット」と呼ばれるものを入れます。パケットの内側は元の雌ねじと同じサイズになってます。抜けてしまった穴に元の雌ねじよりパケットの厚さ分一回り大きな雌ねじを開けて、そこにパケットを挿入する事により、元のサイズと同じ雌ねじが復活するというものです。

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左側にあるのが「パケット」、中央にあるのがパケットを挿入する治具、右が一回り大きな雌ねじを開ける特別なサイズのタップです。今回は貫通穴だったので、パイロット付きタップにしました。これは先端に元の雌ねじと同じ大きさのタップが付いていて、わずかに残っている雌ねじをガイドとして真っすぐに挿入出来る様になっています。そのため元の穴に対して、垂直に同心円にタップが切れます。ちなみにこのリコイルキットのお値段はM10-1.5 パイロットタップ付きで10,500円でした。私が持っている工具の中で2番目に高いです。

タップを切るにあたって、切りくずが中に入り込まないよう養生します。今回はシート付き養生テープを使用しました。テーブにビニールのシートが付いているもので、これはビニールの幅が50cmあります。ホームセンターで手に入ります。

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これをクランクケース内部に張って、切り屑が落ちない様にします。ただ、このテープ、平面には付くのですが、アルミの梨子地にはくっつかず、うまく養生出来ませんでした。ガムテープを上から張ろうと思ったのですが、見つからず、手で押さえたりしながらやりました。

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タップホルダーは呼び径10mmでは足りず、13mmのものを注文しました。それが来るのに2週間もかかってしまいました。タップには切除油としてCRC 5-56を吹き付け、切り方は基本通り、1/2回転切って、1/4回転戻しで進めて行きます。途中3回程タップを抜いて、付着した削り屑をCRC 5-56で吹き飛ばしました。

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次にリコイルのパケットを挿入します。挿入治具にパケットをセットして、CRC 5-56を吹き付けます。別に5-56でなくてもかまわないのですが、私がこれを選んだのは、乾きやすいからです。挿入する時は潤滑して欲しいのですが、一度挿入した後は動かない方が理想的です。5-56ならエンジンの熱で間違いなく蒸発するので、それでぴたっと固定されると考えたからです。

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新しい雌ねじに沿う様にゆっくり軽く回して挿入して行きます。

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実はこのスタッドボルトが通る穴はオイルラインも兼ねています。下の写真で、上に見える小さな穴がオイルが出てくる所です。ここから出て来たオイルは、スタッドボルトに沿って伝わり、ロッカーアームなどのヘッド周りを潤滑しています。そのためパケットは、オイル穴を塞がない様に少し奥まで入れました。また穴に入った切り屑も家庭用の掃除機で吸い出しました。

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あとは突き出し量を規定の254mmに合わせて完成です。

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今回問題だったのは、スタッドボルトを締めるのにオーバートルクで締めてしまった事です。BMWメンテナンスブックには、シリンダーヘッドを締める時は(1)15Nm、(2)25Nm、(3)35Nmで順々に締めて行くと書かれていたのですが、35Nmというとかなりの高トルクです。外そうとすると片手の力だけでは外れず、体重をかける必要があります。ところが今回問題になった方とは別のシリンダーヘッドは、去年の5月にササキ・スポーツ・クラブで腰上OHしてもらったものですが、こちらは片手の力だけで外れてしまいました。正確に測定はしていませんが15〜20Nm程度だと思われます。そのような訳で、20Nmもあれば実質問題ないようなので、スタッドボルト抜けを防ぐ為にも今後は20Nmで締める様にしようと思います。

2007年10月 2日

セピア エアフィルター交換

注文していたセピア(50ccスクーター)のエアフィルターが先週末に届いていたのですが、雨のため作業できず、今日交換しました。
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まずカバーを外します。カバーは上側のプラスチックのスライダー2個と、下側のねじ2本で止まっています。

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古いエアフィルターは、以前見た時にボロボロで触ると崩れる状態だったので、既に取り去ってあります。また、オイル汚れでドロドロだったので、パーツクリーナーで清掃しました。

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新しいエアフィルターは既にオイルが塗布されている状態だったので、そのまま入れます。目の粗いスポンジと、細かいスポンジの2層構造になっていて、粗い目を手前にして押し込みます。あとはカバーをして出来上がり。

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3週間程エアフィルターなしで走行していましたが、特に変わった感じはしませんでした。まあ元のエアフィルターがボロボロで大穴が開いていたので、フィルターなしと変わらなかったのでしょう。でもレースの様に毎回エンジンを分解清掃するのならともかく、普通に乗るだけならエンジンの寿命を延ばす為にもエアフィルターはちゃんと付けた方が良いと思います。

最初、洗車用スポンジを切って使おうと思ったのですが、2ストはガソリンの吹き返しがあるので、耐ガリソン性を持ったスポンジでないといけないという事で、純正品にしました。650円でした。洗車用スポンジは150円くらいと安いのですが、エアフィルターの形と厚さに切る事を考えると、純正品を買った方が楽で早いです。

2007年10月11日

グローバルフェスタ2007

10/7(日)に日比谷公園で開催されたグローバルテェスタ2007に行ってきました。
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JAICAや各国大使館やNPO団体がブースを出していて、各国の食べ物の販売とかしておりました。ここで販売された売り上げは、各団体から様々な支援に使われます。

圧巻だったのは地雷除去機の一部を出していた日立のブース。厚さ3cmくらいのアクリル板の窓に地雷の散弾が深々と刺さっており、貫通しそうなものまでありました。本物の地雷の展示もあり、中国製のプスチック製の地雷は4〜5US$だそうです。「貧者の核兵器」と言われる所以です。

2007年10月13日

BMW R100GS-PD ミッションの一速で不具合

先週の日曜日に日光に行ってきました。まだ紅葉シーズン前ですが、結構観光客が来てました。出発した時は曇りだったのですが、走るにつれて雨になってきました。レインウェアは持って行ったのですが、グローブが薄手の革製しか持って行きませんでした。濡れて来ると寒くなるので久しぶりにグリップ・ヒーターを使いました。普段は雨用のグローブを使うので、ほとんど使わないのですが、こういう時にありがたいですね。いつもの湯本の温泉寺で温泉に入ってきました。

その帰り道、ギアの一速がおかしくなりました。信号で止まった時に一速に入れて、発信しようとすると、ギアがちゃんと入っていなくて、ガラガラガラと音を立てて空転してしまいます。そのままシフトペダルを押し下げれば、ギアは入ります。よくちゃんとギアを入れていない時に発生する現象と同じですが、時々ではなく毎回で、いくらしっかり踏み込む様にしても必ず起きてしまうのです。

それと一速に入れた後、そのまま走っていると、何もしていないのに、ガチャンという音と共にショックがあり、まるで勝手にギアチェンジをしようとしている様です。結局は一速のまま変わらず、抜けたり、他のギアに変わる事は無いです。しかし、そのまま一速で走っていると、何回もそれが起こります。

二速以上では、全く問題ありません。これはミッションの不具合かなと思ったのですが、ミッションは特殊工具がいろいろと必要だし、ケースをヒートガンで暖めたり、ギアを冷蔵庫に入れておいたりして、膨張差を利用してはめ込んだりしなければならないので、素人の手には負えません。この現象についてBike House Flat杉並店に電話して相談した所、以下のような回答でした。

  • ミッションの不具合は外側と内側のものがある。
  • シフトペダルの下にはエンジンマウントがあり、シフトペダルが曲がっていると干渉してギアがちゃんと入らない事があるので、この点を確認してみる。
  • ギアオイルを抜いて、金属屑が多量に出ていないか調べる。
  • 通常(80W-90)より固めのギアオイルを入れて、様子を見る。
  • それでも変わらないなら、中を開けて見る。

りあえず、シフトペダルのチェック、ギアオイルの交換(SAE90くらいにするつもり)で様子を見てみます。

もしそれで駄目なら、ミッションを開ける事になるのですが、工賃が高いので、どうせならミッションのOHをしてもらうつもりです。また、ミッションを下ろすとクラッチがむき出しになるので、クラッチのOHも一緒に行います。いくらくらいかかるか聞いた所、ミッションのOHが何も問題が無い場合で7〜8万くらい、クラッチのOHは部品代で5万くらいとのことでした。

これだけの金額ならiMacが買い替えられるのに・・・(T_T)

(2)に続く

2007年10月14日

BMW R100GS-PD 70,000km達成

オドメーターが70,000kmに達しました。(^^)
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BMW R100GS-PD ミッションの一速で不具合(2)

とりあえずシフトペダルをチェックしてみましたが、問題ありませんでした。

次にギアオイルの交換を行います。まず古いオイルを抜くのですが、ドレンボトルはミッションの真下にあり、その下にチャンバー?があるのですが、ギアオイルを抜くためにそれを避ける様に凹んでいます。
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前回の交換から5,000kmしかたっていないのに、かなり汚れています。
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ドレンボトルに磁石が付いているのですが、鉄粉がびっちり付いてました・・・
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ちなみにこれが鉄粉を取り除いた後の状態です。拭き取ったウエスにはきらきら光る鉄粉がついてました。これは確実に削れてますねぇ。
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今回は固めのオイルという事でSAE90の物を探して、何件か回ったのですが、ギアオイル自体置いてある所が少なく、見つかったのはカストロールのLSX90のみでした。ちなみに1Lで1,344円です。
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これで試走したのですが、ほとんど変わりませんでした。やっぱり一速で不具合が出ます。来週、バイクハウスフラットに持って行くつもりです。(T_T)

(3)に続く

2007年10月15日

世界の中心で愛を叫んだけもの

前々から読みたいと思いっていたハーラン・エリスンの「世界の中心で愛を叫んだけもの」を読みました。

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表題作は1969年にヒューゴ賞短編部門を受賞した「The Beast That Shouted Love at the Heart of the World」です。なんかいろいろなところで題名をパクられていますね。内容は・・・難しい。「みんなを愛する」ってどういうことだろう・・・

全部で16の小説が入っているのですが、基本的には「狂気とバイオレンス」の世界です。スピード感もあり、読んでいてぐいぐい引き寄せられて行き、久々に読み応えががありました。

2007年10月17日

人生の唯一の目的

幸福こそ、人生の唯一の目的です。コンピュータを買う事によって、より幸福になると思わないのであれば、コンピュータを買うべきではありません。幸福の為でなければ、何事もなす価値はありません。これこそ人生を測れる唯一の尺度であり、それは一日当たりの笑顔の回数で計る事が出来るのです。幸福とは、食べること、楽しむこと、それに友人を持つことです。

スティーブン・ウォズニアック(アップルの創設者の一人)が1986年5月17日、カリフォルニア大学バークレー校の卒業式にて、卒業生総代として語った言葉。

2007年10月21日

BMW R100GS-PD ミッションの一速で不具合(3)

今日、バイクハウスフラットにバイクを持ち込みました。これまでの経緯や状況を説明した所、「じゃあ、試乗して確認します」と言うことで、メカニックの人に乗ってもらいました。

結果はギアの一速が完全にお釈迦になっているとのことでした。「一速で使用される2枚のギアは間違いなく交換でしょう。またシフトフォークにも損傷が出ている可能性が高い。さらにシフトチェンジ機構にも影響が及んでいるかも。」ということで、かなりの重傷のようです。

中を開けないと正確には出せないが、クラッチの交換も含めて、ざっとで15万円くらいとのこと。あとは予算に応じてどこまでやるかとのことでした。また、現在は予約で一杯でバイクを置いておく場所がないので、今日は自走で帰って、場所が空き次第連絡をくれるとのことでした。多分11月上旬には空くとのこと。

それまでは走らせず、自分で独自に設計した新型ダイオードボード固定マウントの作成・実装、ミラーの交換、ステップのゴムの変更、電源ソケットの増設なんかをやれれば良いなと思ってます。

(4)に続く

2007年10月24日

高橋曻さん逝去

カメラマンの高橋曻さんが亡くなられた。それを知ったのはつい昨日。インターネットを検索して情報を集めると、9/3に亡くなられたらしい。

曻さんとは浮き球三角ベースで知り合った。沖縄大会の打ち上げのとき、カメラマンたちが集まって話しているとなりにたまたま居合わせて、話しの流れで「こんなの持ってますよ」と私のCanon FXを見せたら、「へー」と興味を持ってくれたのが始まりだった。「よし、じゃあ撮ってやるから」と言われて、私とカミさんの写真を撮ってくれた。会場は薄暗く、カメラにはフラッシュが付いていなかったが、照明が明るく背景が鏡になっているスペースを素早く見つけ、「表情堅いよ。もっと笑って」といいながら笑顔を引き出していたのは、さすがにプロだった。出来上がった写真はとても良い出来で、今でも額に入れて家の居間に飾ってある。

そのころカミさんは妊婦だったので、曻さんにはその後も「妊婦」と呼ばれた。大会中に何度も顔を合わせるうちに、いろいろ話す様になった。曻さんは沖縄の離島にも度々行っていると聞き、その後の新婚旅行で沖縄の離島でのんびりしたいと思っていた所だったので、どこがいいですかねーと聞いたら「竹富島が良いよー」と言われて、行ってみた。竹富島は本当にとても良く、沖縄最後の楽園だった。

その後、関東での試合で会った時、二人目の子どもがはいはいするくらいの時だった。この時は曻さんの娘さんも一緒だった。その時はContax T2を持っていたのだが、また「撮ってやるよ」と行ってくれて、二人目の子どもが一面のクローバーではいはいする所を撮ってもらった。自分でも同じ様に撮ったのだが、出来上がってみると全く別もの。同じカメラで同じ場面を撮っても、プロの写真はなんであんなに見栄えが良いのだろう。不思議なくらい素晴らしい写真だった。

最後に曻さんに会ったのは、やはり関東の大会だった。私はその時いなかったのだが、子ども三人が並んでいて絶好のシャッターチャンス。カミさんが曻さんに撮ってやるからカメラ貸せと言われたが、カメラは私が持って行っていたので手元になし。じゃあ携帯でいいからと言われたが携帯も持っていない。結局子どもが気づいてしまい、シャッターチャンスは去ってしまった。カミさんはそれが心残りだと言っている。

今、インターネットで「高橋曻」と検索するとたくさんの人が、お悔やみの言葉を述べている。また開高健さんとの本もたくさん出て来る。浮き球三角ベースは椎名さんを始め、いろんな人がいるので、曻さんがこんなに有名な人だとは思ってもいなかった。私にとっては気さくで面白い子ども好きの浮き球三角ベースのおじさんだった。

遅まきながら曻さんの冥福をお祈りします。

2007年10月30日

BMW R100GS-PD クライマー社の修理マニュアル

今までGSの修理に以下の本を参考にしていました。

しかし細かい部分が書いてなかったり、R100RSを題材にしているので、R100GSとは違う所が出てくるので、別途以下の本を買うことにしました。

世界的に評価が高いのですが、アメリカの本なんで英語なんですよね。まあ、写真とか図解とかあるだろうし、ドイツ語よりはましということで。(^^;

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